秋冬のウールコートを選ぶための五つの視点
コートは、一年の中で最も悩む買い物のひとつです。値段が高いから慎重になる、というだけでなく、毎日着るものだから失敗したくない。そのプレッシャーが、選ぶ楽しさを奪ってしまうことがあります。ここでは、Violet Anchorで毎シーズンお客様と一緒に考えてきた視点を整理してみます。
素材:ウールの種類と特性を知る
ウールコートといっても、素材の種類は幅広い。メリノウール、シェットランドウール、ダブルフェイスウール、ウール混紡など、それぞれ手触りも耐久性も異なります。メリノウールは細い繊維で肌触りが柔らかく、軽量です。一方、シェットランドウールは繊維が太く、毛玉になりにくい。
ダブルフェイスウールは、表地と裏地を別々に織り、重ねて仕立てる手法です。裏地がないため軽く、縫い目が少ないのでシルエットがすっきりします。ただし、仕立てに手間がかかるため価格は高めになります。長く着ることを前提にするなら、コストパフォーマンスは高い素材です。
丈:生活スタイルに合わせて選ぶ
コートの丈は、着る場面と移動手段によって変わります。自転車や公共交通機関をよく使う方には、膝丈前後が動きやすい。車移動が多い方は、ロング丈でも着脱のストレスが少ない。
高松の冬は、瀬戸内の海風が思ったより冷たい日があります。特に1月から2月にかけては、膝下まで覆えるコートの方が体感温度が違います。ショート丈のコートは軽快ですが、重ね着で対応する必要があります。
色:三年後も着たいかどうかで決める
色選びで後悔する原因の多くは、「今季のトレンドカラーを選んだ」ことです。トレンドカラーは翌年には古く見えることがある。コートは毎日着るものなので、クローゼットの他の服と合わせやすい色を優先する方が、結果的に長く着られます。
ダークオリーブ、チャコール、キャメル、ネイビーは、多くのワードローブに馴染みやすい色です。「今持っている服の何割と合わせられるか」を店頭で確認することをお勧めしています。
縫製:どこを見ればいいか
縫製の良し悪しは、いくつかのポイントで確認できます。まず、肩の縫い目が左右対称かどうか。次に、ボタンホールの縁がほつれていないか。そして、裏地がある場合は、裏地の縫い付けが丁寧かどうか。
ボタンは、プラスチックより水牛角や貝ボタンの方が耐久性が高く、見た目の重厚感も違います。ボタンの素材は、コートの価格帯を判断するひとつの目安になります。
コートは試着して、歩いてみないとわからない服です。素材の重さ、肩の落ち方、袖の長さ。数字やスペックだけでは伝わらないことが多い。気になるものがあれば、ぜひ店頭で羽織ってみてください。